介護保険は、高齢者の介護や支援を社会で支えるために作られた保険制度です。40歳以上の国民全員が支払っている「介護保険料」と国・地方自治体の負担で支えられています。日常生活で支援が必要になった人への「介護保険サービス」に主に使われており、介護が必要な本人だけでなく家族の負担軽減も考えられています。利用料は介護度によって異なりますが、原則一割負担です。利用するには市区町村へ申請、介護度の認定が必要です。
介護保険の財源
国、都道府県、市区町村の負担が50%、第1、第2被保険者の保険料が50%。
■65歳以上(第1号被保険者)
市区町村ごとに決められた基準額をもとに、本人や世帯の所得に応じて保険料が決まります。
■40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)
医療保険の保険料と一括して納められます。加入している医療保険によって金額が異なります。
介護保険サービスを利用できる人
■65歳以上(第1号被保険者)
要介護と認定された方は介護サービスを、要支援と認定された方は介護予防サービスを利用できます。ケガや病気などの原因は問われません。
■40歳以上65歳未満(第2号被保険者)
老化が原因とされる特定疾病(16種、以下参照)で、要介護、要支援と認定されるとサービスを利用できます。
- がん末期
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及び
- パーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性
- 網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
要介護認定
介護保険サービスは65歳以上の全員、40歳以上で介護が必要とされた人全員が利用できます。利用のためにはどんな介護保険サービスが必要なのかを判断しなければなりません。これが要介護認定です。市区町村の窓口や地域包括支援センターに認定審査を申請すると、調査員が本人(親)の住居へ調査に訪れます。そこで家族構成や生活状態、受けている医療、心身の状況(視力、聴力、食事、排泄、入浴、問題活動の有無など)を本人と家族から聞き取り調査します。その調査結果と「主治医による意見書」をもとに、二度の判定を経て要介護度が認定されます。
要介護認定の区分の目安
要介護認定は「要支援」「要介護」と大きく2つあり、さらに7つの段階に細かく分けられます。それぞれの区分と目安になる症状や状態は次の通りです。
■要支援1
日常生活をほぼ自分で行えるが、家事など一部または立ち上がりや歩行に支援や支えが必要な状態。
■要支援2
要支援1よりもやや低下した状態。立ち上がりや歩行に不安はあるが、支援があれば日常生活を送ることができる。
■要介護1
立ち上がりや歩行が不安定。排泄や入浴などの部分的な介助や身の回りの世話が必要で、物忘れや判断力の低下などがみられる状態。
■要介護2
立ち上がりや歩行に支えが必要。排泄や入浴などの介護が必要で、記憶力の低下や時間の管理などは困難になる。日常生活の中に一人で出来ないことがある状態。
■要介護3
立ち上がりや歩行が自力では難しく、排泄や入浴、着替えなど全面的な介護が必要。要介護2に比べ様々な機能低下が見られる状態。
■要介護4
排泄や入浴、着替えなど全面的な介護が必要。介護なしでは日常生活が困難な状態。
■要介護5
日常生活全般に全面的な介護が必要。いわゆる寝たきりで、意志の伝達も困難な状態。介護なしでは日常生活を送れない。
このほか「非該当」の結果になる方がいます。
■非該当
日常生活を自分で過ごせる。介護保険サービスの必要はないと認められた状態。
要支援と認定された場合は、「介護予防サービス」を受けることができ、要介護と認定された場合は「介護サービス」を受けることができます。非該当の場合は「地域支援事業によるサービス」を受けられる場合があります。
要介護認定の区分によって何が違うのか
区分によって受けることができるサービスの内容と限度額が異なります。介護度が進むと、選択できるサービス内容が増え限度額も上がりますので、様々な介護保険サービスを受けられ家族の介護負担が軽減します。但し、利用料の1割は自己負担なので注意してください。
認定された区分の不服申し立て
認定された区分によっては希望するほどのサービスを受けられない場合があります。もし認定結果に納得できない場合は不服申し立てをすることが出来ます。結果通知を受け取った日の翌日から60日以内に都道府県に設置されている「介護保険審査会」に申し立てを行います。
実際にどんなサービスが受けられるかは「受けられるサービス」でご紹介します。